【医師監修】不眠症に漢方薬は効く?病院での処方は選択肢のひとつ。負担を減らし効果を求める

不眠症漢方薬

不眠症に効く漢方には、どういったものがあるのでしょうか。

夜眠れない入眠障害の症状や深夜に何度も目が覚めてしまう中途睡眠障害など不眠症にはいくつかのタイプがありますが、次の日の仕事に響くなど、睡眠にまつわる悩みは日本人の5人に1人が抱えていると言われ、国民病とも言えます。

不眠症の悩みを改善するために、生活習慣や食生活など考えられる対処法を行ったけれど、中々実らず、あとは睡眠薬しかないのか?と頭をよぎる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

睡眠薬は副作用が怖いし、依存症になったら、ますます抜け出せなくなると信じている人も多くいらっしゃいます。

実際には医師の指示のもとで正しく使えば、依存症になることは少ないのですが、人間は弱い生き物です。ついつい楽な方へと流されてしまうため、いつまでも睡眠薬に頼ってしまうこともあるかもしれません。

では病院での処方薬ではなく、漢方薬はどうなのでしょうか?

漢方薬は身体に良さそうというイメージがある反面、「身体に合うかな?」、「難しそう」という先入観もあります。

漢方を理解し、味方につければ、心も身体も軽くなるかもしれません。本記事では、不眠症に効果的な漢方薬はどれ? 睡眠薬との違いとは? など、知識が深まる知識をご紹介します。

不眠症の定義や原因などを先に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ご協力いただいた医師
【所属】クリニックフォア新橋 院長
【お名前】圓山 尚

【監修医師プロフィール】
金沢医科大学卒業後、クリニックフォア新橋の院長。皮膚科は内蔵の疾患やアレルギーとの結びつきも多く、内科、アレルギー科も含め総合的に捉えて診療するよう努めています。

不眠症の原因と対策についてはこちら
不眠症【医師監修】不眠症の原因と対策!根本から解決し睡眠の悩みを解消してスッキリ

不眠症に漢方は効果ある?睡眠薬との違いを知ろう

不眠症漢方薬

不眠症を治していく上で、生活環境や毎日のリズムを整えていくことは必要不可欠です。不眠の原因として考えられることを改善しているが、それでも治らない場合は、睡眠薬を活用し、入眠を促すことも一つの改善策です。

しかし、睡眠薬は根本解決には至りません。自然な眠りを得ることができる体質、環境に変化させることを目指しましょう。

では同じ薬というジャンルでも、漢方薬はどうなのでしょうか。

漢方薬は、睡眠薬のように脳の神経に直接作用するわけではありません。生薬の中で、眠りを誘う成分を活かして不眠の原因にアプローチする、という考え方ですので、漢方を使うことで自然に眠れる身体に近づいていくかもしれません。

なぜ、漢方薬が不眠症の根本解決に役立つのか見ていきましょう。

漢方が不眠症に効果がある理由

漢方薬が不眠治療に使われるケースはしばしばあります。いま困っている症状にアプローチして、効きそうなものを選んでいくことになります。

「実証」と「虚証」など各個人の体質によって選び方も大きく変わり、その人の現在の状態にマッチする漢方薬が選ばれます。

漢方薬はその人の不眠の原因に対してアプローチをし、解決していきます。西洋医学では対症療法と呼ばれ、症状に対するアプローチが主であるのに対して、漢方では人間が持つ自然治癒力をサポートします。

そのため、不眠の症状が根本的に解決されれば、自然と眠れるようになることが期待されます。睡眠薬に頼らずとも、普段の生活で快眠が得られるようになっていきます。

漢方薬はどういった作用がある?

もう少し、漢方について詳しく知っていきましょう。

漢方には、「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があります。

気は、身体の元気度やエネルギーに満ちているか、足りていないか。もしくは、ストレスが悪影響を及ぼしていないか。

血は、身体が必要とする栄養は足りているか。栄養を全身に届けるために、ちゃんと全身に血が巡っているか。

水は、身体の潤いと循環(巡り)を見ます。潤っていなければ老けて見えるだけでなく、不調が身体の様々な部位に出てきます。巡りが悪ければ、毒素を身体の外に出す排泄がうまくいかず、身体の中に溜まっていく、と考えられます。

気・血・水のいずれもがきっちり機能することで、健康的な身体が得られるのです。

漢方には、気・血・水のいずれかに作用する薬があり、症状ごとにマッチしたものを選んで使います。

気の流れが滞っているなら、流れをスムーズにする漢方薬を使いますし、イライラ気味で興奮しているなら、気分を落ち着かせる漢方薬を飲みます。

そして、体質(実証・虚証・虚実混合証)によって、使用可能な漢方薬も変わります。個別にベストマッチした漢方を選んで使うことが出来れば不眠の症状も回復していくでしょう。

睡眠薬と漢方薬の違い

不眠症の治療を行っていく上で、睡眠薬と漢方薬の違いをおさらいしておきましょう。

睡眠薬は、脳の中枢神経に作用し、眠気を誘導します。「眠る」という点においては、即効性があり、夜眠れない、寝つきが悪いという悩みがある方が使うと、ぐっすり眠れるようになることが期待されます。

しかし、睡眠薬はあくまでも「眠れない」症状に対しての対症療法であって、自然に眠れるような体質に変わっていくかというと、これだけでは難しい面もあります。

睡眠薬を活用し、眠れなくて辛いという前提認識が変わって身体が楽になり、眠れるようになれば、根本的な解決に繋がる見込みはあるでしょう。しかし、違うところに要因が残ったままの場合、結局、睡眠薬に頼り続けてしまうことになるかもしれません。

対して、漢方薬の場合は、身体の生命活動に関わる「気・血・水」の巡りを良くし、不眠の原因に直接アプローチをします。そのため即効性は薄いのですが、徐々に体質が改善していくことで、自然と眠れるような身体になっていくことが期待されます。

睡眠薬も漢方薬もどちらにも違ったメリットがあります。場面に応じて使い分けるのがよいでしょう。

不眠症で漢方薬を使うメリット

不眠症治療で漢方薬を使うメリットは、自然な眠りを導く身体になっていくことです。

また、自分の身体の状態をよく知ることにも繋がるため、原因の根本解決だけでなく、不眠症の再発防止にも繋がること、また症状が出始めた際に、早めに対処できる点も大きなメリットといえるでしょう。

もっとも漢方薬は、メリットばかりではありません。自分の症状にぴったりな漢方薬を見つけられるか、は大きな問題です。

基本的には、医師のカウンセリングを通じて、自分に合った漢方薬を処方してもらうことになります。そして、経過を確認しながら、その漢方薬が自分の身体に「合う・合わない」を判断していくことになります。

ドラッグストアなどでも購入できますが、自己判断で身体に合わないものを使った場合に、副作用が出てしまうケースもあります。そこが、漢方薬の難しさでもあります。

不眠症治療に使われる漢方薬の種類と効果

不眠症漢方薬

不眠症治療に使われる漢方薬の種類と効果をまとめていきます。

漢方薬は、普段読み慣れないような漢字が使われていることが多いです。漢字で書かれているものの、どのような作用があるのか、まるで推測できないこともあるのではないでしょうか。

名称を覚えるのは二の次にして、どういった効果があるのかにフォーカスして考えていきましょう。

酸棗仁湯(さんそうにんとう)

酸棗仁湯(さんそうにんとう)

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/103.html

酸棗仁湯(さんそうにんとう)は、心身が疲れて眠れない人が使うと良いとされている漢方薬です。神経症や自律神経失調症が原因の不眠症状に対して使われます。

睡眠の周期やリズムが乱れ、布団に入っても目が冴えて眠れない方に向いています。

入眠導入だけでなく、悪夢を見て深夜に何度も起きる、朝起きたけれど、寝足りないなどの症状にも適しています。

ドラッグストアや通販サイトでも酸棗仁湯が入った漢方薬は見つけることができます。効果を確認しながら、量を調節して使ってみてもいいでしょう。

酸棗仁湯は、体力が低下している方(虚証もしくは、虚実混合証)に適した漢方です。

【配合生薬】

酸棗仁(さんそうにん)、茯苓(ぶくりょう)、川芎(せんきゅう)、知母(ちも)、甘草(かんぞう)

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/011.html

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけしいしかんきょうとう)は、冷えや貧血気味など、血の巡りにアプローチする漢方薬です。血液循環だけでなく、神経系にもアプローチし、気持ちを落ち着かせる作用もあります。

女性特有の辛い症状に対しても使われることもあり、イライラによる不眠だけでなく、更年期障害等で起こる不安などにも効果があるため、上手に使えば効果が期待できるでしょう。

柴胡桂枝乾姜湯は、体力がかなり低下している方向けの漢方薬です。

【配合生薬】
柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、栝楼根(かろこん)、桂皮(けいひ)、牡蛎(ぼれい)、甘草(かんぞう)、乾姜(かんきょう)
※配合生薬は一般例で、商品によっては異なることがあります。

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散(よくかんさん)

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/054.html

興奮して眠れない、神経のたかぶり、イライラなどが原因で寝付けが悪い方向けの漢方薬です。

抑肝散は、もともとは子供の夜泣きに使われていました。そのほか、女性特有のバイオリズムの乱れや更年期障害などにも有効です。

基本的な体力があるなら、抑肝散は使って問題ない漢方薬です。

【配合生薬】
当帰(とうき)、釣藤鈎(ちょうとうこう)、川芎(せんきゅう)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/012.html

精神が不安定で、些細なことに目を向けてしまう。イライラや不安、抑うつなどが原因で不眠の症状が出ている場合は、こちらが有効です。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、体力がしっかりある方向けの漢方薬で、精力的に動き回れるが、心は不安定という状態な人にぴったりでしょう。

【配合生薬】
柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりゅう)、黄芩(おうごん)、大喪(たいそう)、人参(にんじん)、牡蛎(ぼれい)、竜骨(きゅうこつ)、生姜(しょうきょう)

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯(ツムラカミキヒトウ)

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/137.html

心身の疲れが蓄積し、血の気がない方、血の巡りが悪い人に適した漢方薬です。さらに、精神的に不安を抱え、それによって入眠が妨げられているなら、加味帰脾湯は強い味方になってくれるでしょう。

加味帰脾湯は、虚弱体質な方、体力が少なく、弱っている人に向けた漢方薬です。

【配合生薬】
黄耆(おうぎ)、柴胡(さいこ)、酸棗仁(さんそうにん)、蒼朮(そうじゅつ)、人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、遠志(おんじ)、山梔子(さんしし)、大棗(たいそう)、当帰(とうき)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、木香(もっこう)、竜眼肉(りゅがんにく)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

引用元:https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/026.html

神経のたかぶりが原因で夜眠れない方、目が冴えてしまう方向けの漢方薬です。また、深い眠りを得られるという作用もあるため、眠りの浅さに悩みを抱えている人にも適しているでしょう。深夜に目覚めてしまう、朝に充分寝た感じが得られない、といった症状に有効です。

桂枝加竜骨牡蛎湯は、虚弱体質の方、体力が少なく弱っている方向けの漢方薬です。

【配合生薬】
桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、牡蛎(ぼれい)、竜骨(りゅうこつ)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)

不眠症に効く漢方はどこで入手?市販品でも安心?

不眠症漢方薬

不眠症に効く漢方薬はどこで入手可能なのでしょうか。使いたい漢方があった場合、どこで入手できるのかも含めて、知っておきましょう。

漢方薬はドラッグストアでも買える?

漢方薬は、ドラッグストアなどで購入できます。いわゆる市販品というものになりますが、漢方薬をパッケージ化し、一袋◯錠という形で、おおよそ1ヶ月分の分量で売られています。

通販を行っているドラッグストアでも見つけることはできますが、最初購入する際は、相談できる人(登録販売員や薬剤師)がいる実店舗で購入することをおすすめします。

また、漢方薬を調べていくと、同名のものでも様々なメーカーから出ている商品があったりします。何が異なるかと言うと、配合生薬のバランスが異なります。そのため、ちょっとした違いにはなりますが、合う・合わないなどが生じる可能性もあります。

不眠症の漢方薬は病院で処方してもらう方が安心

漢方薬は、ある程度知識を持ったあとは、どれを使えば、今の自分の症状に対して効果的なのか、推測できます。

しかし、はじめて漢方薬を使う、全然知識がない場合は、病院で医師に処方して貰った方が安心できるのではないでしょうか。

さらには、漢方薬のメリットを活かしながら、一般薬品を組み合わせることで、ベストの処方が作れるため、不眠の症状によっては効果が高まるケースも考えられます。

ちなみに、漢方薬はどの病院でも処方してもらえるのか?という疑問が湧きます。内科、精神科、診療内科問わず、漢方の処方を行っている病院であれば、初訪してもらえます。

漢方薬を専門に取り扱う病院が探せるホームページなどあります。【漢方ナビ

上記のようなサイトをお使いになり、お近くのエリアを探し、漢方薬を初訪してもらえる病院を探してみましょう。また、これらのナビサイトにすべての病院が掲載されているわけではありません。

行きつけの病院、もしくはお近くの病院にあらかじめ問い合わせてみると良いでしょう。

漢方薬は医薬品とは異なる知識や経験が必要とされるため、専門的な知識が必要とされます。

そのため、正確に扱える先生も限られてきます。体調に関わることですので、きっちりと事前に調べましょう。

また、保険適用可能な漢方薬もあります。長く使い続けることを前提に考えるならば、少しでもお薬代は安くしておきたいものですね。

漢方は難しい?!自分の身体に合わないケースも

漢方や様々な生薬がバランス良く配合されているため、自分自身の体調によっても左右されます。

また、一度過去に使ったことある漢方薬が体質の変化により合わなくなったというケースも経験されます。

自分の症状をきっちり把握し、何か変わったと思うなら、その都度、医師に意見を求めるのも大事なことです。

的確な漢方薬を使い、不眠症の根本治療に取り組んでください。

医者なら合わない原因を究明できる

市販薬より、処方薬の方がおすすめな理由としては、何か不調があらわれた際にも、医者が細かく相談に乗ってくれることです。

単純に今の薬が効かない場合でも、違った漢方薬を提案してくれるでしょう。市販薬では得られないメリットであると言えるでしょう。

身体の不調を正確に特定するためには、どうしても様々なヒアリングが必要不可欠です。

そのため、市販薬で手に入る漢方薬より、病院の処方薬の方が安心、信頼できる側面はあります。

不眠の原因は、かなり複雑です。様々な要因を解決すべく、ご自身の身体と相談しながら漢方薬を活用していきましょう。

不眠症用の漢方薬はどういった人が使ったらいい?

不眠症漢方薬

不眠症治療に特化した漢方薬はどういった方が使うべきなのでしょうか。

漢方薬は、睡眠薬と異なり、体質改善を目的とした生薬なので、禁忌として指定されている症状をお持ちの方以外はどなたでも使えます。

また、不眠症の睡眠薬を使うのに抵抗がある方は、まず漢方薬を試してみるのも良いでしょう。

どうしても、睡眠薬は、対症療法の薬であるため、長期間使っていく内に無意識的に使うようになると、体質改善の意識はなくなり、薬に頼ればいい、という安易な考えに至りがちです。

睡眠薬依存症になってしまうと、さらに不眠の症状が悪化してしまうことも考えられます。

生活環境や毎日のリズムを整え、強く感じるストレスの原因も取り除いたけれど、不眠の症状が改善されなかったという人には、漢方薬をおすすめします。

不眠症の治し方についてはこちら
不眠症治し方【医師監修】不眠症の治し方!4つの不眠症の原因と治療方法を解説

もちろん、漢方薬も万能ではありませんが、正しく使えば身体への負担は少なく、睡眠にまつわる悩みだけでなく、別のトラブルも解決できるかもしれません。

漢方薬は、馴染みのない人にとってわからない点が多いかもしれませんが、知識を身につけて、上手に活用してください。

不眠症は漢方の力で治そう!効果のある漢方薬を活用

不眠症漢方薬

不眠症は漢方の力で治っていく可能性は十分にあります。これは、漢方に使われる生薬が身体の気・血・水を高め、エネルギッシュかつ健康な体質へと近づけてくれるためです。

もちろん、漢方薬だけで不眠の症状が治るわけではなく、生活のリズムを整え、ストレスを感じない生活を送り、栄養も十分摂ることも併用していくことで、快眠が得られる体質へと変化していくでしょう。

睡眠薬が悪いわけではありませんが、どうしても眠れないときに使う、対症療法の薬です。

根本治療には繋がらないため、必要なときに短期間だけ使っていくことが、長い目で見た際には身体にとってプラスに働きます。

また、漢方薬は市販でも手に入りますが、医師の処方薬をおすすめします。中には保険適用の漢方薬もあるため、お財布には優しいでしょう。

不眠にお悩みの方は、漢方に対する知識を高め、自分にマッチした漢方を使いましょう。